レビュー文化の成熟に思うこと | HYBRIDウェブマーケティング

レビュー文化の成熟がもたらすのはユーザー主導の流れ

Freepikによるデザイン

私たちが商品を購入する際、実際のユーザーの声である口コミを参考にしている方は多いと思います。近年SNSが存在感を放っていますが、 ユーザーを地域軸で見ると、郊外に暮らしている私の実感では、まだ都市部以外のユーザーには浸透していません。 またユーザー属性軸でいうと、マーケティングのイノベーター理論 の「アーリーマジョリティ」ぐらいまでかと推測します。 これらを踏まえると現段階では、口コミは有効な判断材料の一つだと考えます。

今回はとあるレビューマーケティングのセミナーに参加した備忘録を、サイト担当者目線で書いていきます。

サイトにレビュー機能があった際の効果

  • 日本人のユーザーが月に11件のオンラインレビューを見ている
  • 日本人のユーザーの半分以上が最近の12か月でオンラインのレビューを投稿している
  • ブランドサイトでもレビューがある場合、購入確率が高くなる
  • レビューの件数が50件の場合は倍近くCVRが増加する
  • 同じ商品でもレビューがあるページの方が、ないページより購入確率が21%高くなる

さらにカスタマーレビューやレコメンド機能を活用することによって、CVRが114%、AOVが5~10%上昇、TOPページの直帰率が70%から30%に減少したという事例を聞きました。

日本人はオンラインのレビューに関心があり、サイトにレビュー機能を導入すると、売り上げが高まるという事ですが、まぁ確かに納得感があります。 なぜなら口コミに関しては、供給側の売り込みよりも、 ユーザーの生の声の方が信ぴょう性があります(ウィンザー効果)し、 レコメンド機能についても、年々細分化したユーザーへのパーソナライズの精度が上がっているからです。

しかし導入すれば売り上げが向上する、と考えるのは少し短絡的です。

上記のデータに「レビューの件数が50件以上ある場合は、倍近くCVRが増加する」とありますが、それはポジティブな声だからであり、 当然ネガティブな内容だとそうはなりません。

商品に対するレビュー評価は下がっていく

少し古くて申し訳ございませんが、2013年の日本の平均レビューは4星以上だそうです。 ただそれはレビュー機能を導入するサイトが増えれば(特にブランドサイト)下がってくるはずです。 私の予想では、早くからレビューを取り入れているグルメサイトや宿泊系サイトは4星以下になってると思います。

実際以前私がいた宿泊業界では、業界全体で下がっているレビュー評価を上げるために、それぞれの宿泊施設が苦心をされていました。 悪いレビューを書かれない為に、ユーザーに対して妥協してしまう現実も理解してるつもりです。

レビューを導入することは、良く言えば供給側がユーザーにリアルな情報を提供できると言えますが、悪く言えばよりユーザー主導になるとも言えます。 ブランドサイトですと、2、3年前からブランドのファンもしくはレビュー催促メールなどで、レビュー自体に興味を持った人が投稿してくれていましたが、 機能が普及してきた現在は、ファン以外の一般ユーザー層が投稿するようになっています。中には信ぴょう性のない投稿もでてくるでしょう。

さらに「投稿経験」が豊富なユーザーは、自分の過去の投稿と比較する為、内容がシビアになっていく事が考えられます。 成熟市場である日本の消費者の商品に対する評価は、世界一厳しいといわれていますよね。 まあもちろん色んなユーザーがいるので、作為的に思えるユーザーの声も増えています。その為それを見抜くユーザーの眼力が問われる時代になりました。

レビューの発達により、供給側の意識が問われる

これらレビューの成熟は何を生むでしょうか?詳しく調査してはいませんが、私は口コミ格差が広まっていると考えています。 商品、サービスに対してユーザは正直かつシビアになっている、集合知は概ね正しい事を考えると、今後はレビュー評価の 差がきちんと取り組んでいるところと、そうでないところで、より顕著になっていくと思うのです。

少し話が逸れましたが、何を思ったのかと言いますと、サイト運営者は口コミ機能を導入さえすれば利益が出ますって事ではなく、 ユーザーは良いレビューを見るからこそ購買促進されるのであって、まずは考えるべき事は、(サイト担当者の方には範囲外かもしれませんが)それらを得るために、 ユーザーが満足する商品を提供していく事だと思いました。まあ供給側にとって厳しい時代で、 そう簡単にはいかないと思うんですけど・・・しかし結局はサービスそのもの質が問われているという、根幹の部分を頭に入れるべきです。